ソレア(Soleá)はフラメンコの中で最も重要な曲種(パロ)の一つで、フラメンコ音楽の核心とも言われています。その芸術的な価値と重要性から「フラメンコの心臓」と称されることもあります。
起源と歴史
ソレアの起源については、フラメンコの多くの要素と同様に、明確な記録が残っていません。 ソレアはアンダルシア地方のジプシー文化に根ざした音楽・芸術ジャンルであり、その深い感情表現、憂愁と荘厳さが特徴的です。
ソレアの起源は「ハレオ(jaleo)」と呼ばれる踊りにあります。これは19世紀に登場したもので、ホタ、ファンダンゴ、セギリージャという南アンダルシアの伝統的な歌が融合し、さらに音楽の「ジプシー化」の過程を経て発展したものです。
最初に記録に残っているソレアの演奏者は、ジプシーの女性歌手マリア・ラ・アンドンダ(María La Andonda)とされています。 彼女は歌手エル・フィジョ(El Fillo)の妻で、エル・フィジョは1878年にセビリアで亡くなっています。最も古い記録は1850年代のもので、「ラ・ソレダー(La Soledad)」あるいは「ソレア・グラナディーナ(soleá granadina)」として言及されていますが、いずれの場合も現在のものとは非常に異なるタイプであることを示しています。
1858年には既に「ラ・ソレダ(la soleda)」がハレオ・アンダルースの一部として、ポロ、グラナディーノ、コララレラスと共にヘレス・デ・ラ・フロンテーラの主要劇場で演奏されていたことが確認されています。1879年にはアントニオ・マチャードが、このジャンルの創始者をソレダーという名の女性歌手に帰しています。 しかし、1860年以降、聴くための芸術としてのソレアが独自の個性を獲得したと考えられています。
ホセ・ブラス・ベガによれば、ソレアの起源は19世紀初頭にカディスとヘレスで非常に人気のあった「ハレオ」と呼ばれる古い踊りに求めるべきだとしています。この見解は民俗学者ロドリゲス・マリンの証言に基づいており、彼は「陽気なハレオとソレアはほとんど常に3行詩であり…同じ音楽が軽快な調子で前者に、ゆっくりとした調子で後者に伴奏した」と述べています。
音楽的特徴
ソレアはフラメンコの「カンテ・ホンド(cante jondo/深い歌)」の代表格とされています。その音楽構造はフラメンコの主要な特徴の基礎となっており、オリジナルのコンパス(リズム)を保存する上で基本的なスタイルとみなされています。
ソレアは12拍子のリズム(コンパス)を持ち、これはアレグリアスやブレリアスと同じリズムですが、テンポが遅く、重厚な特徴を持っています。 このリズムがソレアの鼓動となり、メロディーと情熱的な歌詞が構築される基盤となっています。
フラメンコの他のパロと同様に、またほとんどの地中海音楽と同様に、ソレアは基本的にフリギア旋法で展開されます。
ソレアはリズムとメロディーの素晴らしい調和を持つコンパス(拍子)に合わせたフラメンコの歌です。19世紀初頭から踊りに伴う歌に由来していると考えられています。これらの踊りは、男性が踊る場合は「ハレオス」、女性が踊る場合は「ヘリアナス」と呼ばれていました。
地域的バリエーション
ソレアには様々なタイプがあり、その違いは素人の目には微妙なことが多いです。主な地域的バリエーションには以下のようなものがあります:
トリアナのソレア(Soleá de Triana):最も重要な変種とされています。ソレアはカディスで生まれたと考えられていますが、セビリアのトリアナ地区でラ・アンドンダの貢献により最高の表現に達しました。専門家たちはトリアナのソレアを2つのタイプに分けています:初期の純粋なジプシー風のものと、より「アンダルシア的」で「アポラス(apolás)」と呼ばれるもの(もともとポロという古いスタイルの終結部に使われていたため)。
カディスのソレア(Soleá de Cádiz):このスタイルはソレアの発祥地と考えられており、エンリケ・エル・メリーソ(Enrique el Mellizo)やパキリ・エル・グアンテ(Paquirri el Guanté)などの重要な歌手と関連しています。カディスのソレアはトリアナに次いで17の異なるスタイルが分類されています。
その他の主要なバリエーションには、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラのソレア、アルカラ・デ・グアダイラのソレア、ウトレラのソレア、コルドバのソレア、アポラ・ソレア(ポロの終結部にソレアを使用)、ブレリアス風ソレア(ソレアの和声とブレリアのリズム)、グランデ・ソレア(4行詩)、変調ソレア(終結部用で異なる調性)、短いソレア、ソレアリージャ(最初の詩行が4音節に短縮された簡略化されたメロディー)、準備のためのソレア(特定の歌を始めるため)、スラッケのソレア(陶工に特有)などがあります。
歌詞と構造
ソレアの詩節は通常、8音節の3行または4行から構成されています。4行の場合、偶数行に母音韻を踏み、3行の場合(短いソレアとも呼ばれる)は1行目と3行目に韻を踏みます。
伝統的には、ソレアの一連の歌は通常、強度と難易度の昇順に並べられた複数のスタイルで構成されます。典型的には準備の歌から始まり、移行の歌が続き、最も表現力豊かな勇敢な歌へと進みます。しかし、よくソレアの締めくくりとして「コレティージャ(coletilla)」と呼ばれる2〜3行の詩が追加され、これは通常、同名の長調(つまりミ・フリギアの代わりにミ長調)で歌われます。
著名な演奏者
歴史を通じて、多くの芸術家がソレアを最高レベルに引き上げてきました。最も著名な演奏者の一人は、パストラ・パボン・クルス(Pastora Pavón Cruz)、通称「ラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネス(La Niña de los Peines)」で、彼女は史上最も重要なジプシーとアンダルシアのフラメンコ歌手の一人と考えられています。1890年2月10日にセビリアのプエルタ・オサリオ地区で生まれ、1969年11月26日に同市のカラトラバ通りで亡くなりました。
その他の著名な演奏者には、前述のパキリ・エル・グアンテとエンリケ・エル・メリーソに加えて、アウレリオ・セジェス(Aurelio Sellés)、エル・モルシージャ(El Morcilla)、ペリコン(Pericón)、エル・フレチャ(El Flecha)、ラ・ペルラ(La Perla)、マノロ・バルガス(Manolo Vargas)などがいます。
ソレアの踊り
ソレアの踊りは、表現力豊かなソロの女性ダンサー(バイラオラ)によって披露されることが多いです。ソレアは特にバイラオラが腕や体で典型的な女性的な動きを見せ、サパテアード(足踏み)を伴うことで、彼女の技量を披露するのに適しています。
バイラオラは腰の動き、厳粛さ、そして「デスプランテ(desplante)」と呼ばれる挑戦的なポーズで注目を集めます。ソレアのテンポは重厚でゆっくりしていますが、コンパス(リズム)はブレリアスやアレグリアスと似ています(ただし、異なる特性を持っています)。
踊りのソレアでは、優雅で表現力豊かな動きが、この魅力的なリズムの物理的な表現となります。
名前の由来
ソレアという名前は、「孤独(soledad)」という言葉の方言的な変形です。語源学的には、カール・フォスラーが著書『スペインの孤独の詩(Poesía de la soledad de España)』で、このフラメンコの歌の名前の起源をこの詩的感情に帰しています。
他の著者たちは、それが「ソル(sol)」、「ソラル(solar)」、または「ソレラ(solera)」に由来すると考えています。アンドレス・サロムは、オリーブの日干し作業に関連する調べ「ソレオ(soleo)」、ジプシーのオリーブ収穫者に特有のものと関連付けています。また、ソレアという呼称の起源は、ラテン語の「ソロル(solor)」とその「歌で仕事を和らげる」という意味にも関連付けられています。
名前が示すように、このパロの名前は「孤独(soledad)」という言葉から派生し、フラメンコのダンサーや歌手に特有のアクセントによって変形されたものです。
以上が、スペイン語圏のウェブサイトから収集したフラメンコの曲種「ソレア」に関する情報です。ソレアはフラメンコの中心的な曲種で、その深い感情表現、独特のリズム、様々な地域的バリエーションが特徴です。